【書評】憲法改正が主な争点の参議院選挙が終わった今、一息ついて読みたい憲法入門『S式生講義 入門憲法|柴田孝之』

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kenpou

改憲が争点と言われた参院選が終わって一息。

そんな今こそ憲法について知る最高のタイミングということで最高の本を最後に紹介しますが、その前に……

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アタマの中の「わかりやすい三段論法 VS ことなかれ主義」

2016年7月10日の参議院選挙が終わりました。

改憲派(A)=戦争賛成(B)

改憲派(A)=自民党(C)

故に、

戦争賛成(B)=自民党(C)

だから自民党ダメ!!

というシンプルな三段論法でもう少し野党が議席を伸ばすかなと思ったら、実際は与党の圧勝。しかも左に寄りがちな若者ほど与党に票を入れていたという……。

ということで、これは各党政策を吟味しての投票というよりも、「ことなかれ主義」や「どうせ変わらない思考」が蔓延しているというのが実情ではないかと思います。

野党は「 護憲 改憲反対」をキーワードとして大声を出して戦っていましたが、与党は「改憲」などあまり口に出さず、いかにも「世論を敵に回さない」ことを第一とするような静かな選挙でした。

結果それが先ほど申し上げた国民の「ことなかれ主義」や「どうせ変わらない思考」にマッチしての3分の2議席確保ということなのでしょう。

ちなみにぼくは、3議席中2議席を民進党がとった札幌選挙区にて、民進党に投票しました。

改憲・護憲って言うけど、憲法の何が争点?

さて、参院でも憲法改正の発議ができる議席3分の2を改憲勢力が占めました。

「数の論理」は民主主義とは程遠いです。少数派の声が潰されるので。それで憲法改正をテーブルにのせるかどうかが決まるというのは面白いですが、事実今後しばらく国会では改憲・護憲の論議が続くと思います。

で、ぼくたちは何を考えればいいのか。

先の

改憲派(A)=戦争賛成(B)

改憲派(A)=自民党(C)

故に、

戦争賛成(B)=自民党(C)

だから自民党ダメ!!

というシンプルに過ぎる三段論法はもう通じないわけです。事実、改憲派が3分の2を占めたので。

どうにも「個人主義か国家主義か」「武力放棄か戦争か」みたいな、暴走する国家の抑制力として憲法が見られているように思いますが、はたしてそれは正しいのか。

参議院選挙が終わって一息ついている今こそ、「憲法」とはどんなものなのかを冷静に眺める最高のタイミングだと思います。

鉄は熱いうちに打て、今回の選挙で片鱗に触れた政治・憲法というものにもう少し踏み込んで考えてみてはいかがでしょうか。

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テキスト「憲法」は共同採掘場

テキスト「憲法」は誰でも掘れる共同採掘場のようなものです。

みんななんとなくしかわからないので、かいつまんだ情報をドヤ顔で出しても許される(というか誰も明確に反論できない)不思議なテキスト。

9条を取り出して自衛権や戦争について言及する本もあれば、21条の表現の自由や検閲の禁止を取り出して個人の尊厳を守る活動もある。24条改正草案で家族の鎖の恐ろしさに警笛を鳴らすこともできるし、26条解釈で教育の新しいカタチを模索することもできる。

おもしろいでしょ。

憲法そのものが「個人の尊重」のために編纂されたものであり、憲法に解釈の余地がある以上、共同採掘場であることは圧倒的に正しいです。ゼロイチで割り切れるものじゃないし、その補足補填のために法律というものが存在している。

で、わたしは、あなた自身は、憲法というテキストをどう捉えているか。

まわりのひとたちの憲法解釈でアッチ行ったりコッチ行ったりするのは、混乱するし疲れます。

憲法について自分のアタマで考え、浅くとも、たとえ正しくても正しくなくても、「自分の憲法観」をつくっておくことが大切だと思います。

憲法に何が書いてあるか、その前に……

そもそも憲法は法律の一段上にあるもので、法律解釈をする際に前提参照されるものです(法律の合憲性)。ただ、その前に、憲法は何のためにあるのかというさらなる前提を知ることも大切です。

といいますか、憲法にはもちろんそれについても書いてあります。最後に紹介する本から、2ページだけ画像にて引用します。(スマホだと見えないかな?)

sshiki01

第13条【個人の尊重】

すべて国民は、個人として尊重される。(1項より)

sshiki02

POINT 憲法の目的は個人主義の達成にある

S式生講義 入門憲法|柴田孝之

個人主義を回避しようとする自民党が憲法改正を成そうとする理由がまさにここに集約されていますよね。

ほか、憲法の内容について重箱の隅をつつくわけではなく、大概要として憲法とは何かを広く平易な言葉で書いている本です。

上記画像のように、トボけたイラストもカワイイし魅力的。講義式の口語体で書かれた本なので、他の憲法本よりは読みやすく全体把握できると思います。

改憲が争点と言われた参院選が終わって一息、でも熱は冷めやらず。そんな今こそ憲法について知る最高のタイミングですよ~。

ぼくが持っているのは【2003改訂版】なのですが、最新は【2014年4版】。だいぶ改訂を重ねて読まれているようですね。

憲法全文と自民党の憲法改正草案pdfはこちら

→ 日本国憲法改正草案

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