まだ「大学就職率ランキング」で消耗してるの?

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「 母校の宮城大学が “ 残念ながら ” 4位に入ってしまった…… 」

これがランキングをみてすぐに感じた気持ちでした(まぁ地方の公立大なんて知らんよねw いい大学ですよ)

宮城大学は開学20年目の宮城県にある公立大学。ランキング上位に入ったことは喜ぶべきことなのに、なぜ“残念”と思ったのか?

ちょっと書いてみます。

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レクタングル(大)

さすが東京大学、ランキング284位

自分の卒業した大学だけではなく、他の大学のランキングもさらってみましょう。旧帝大のランキングを上位から並べてみます。

  • 名古屋大学 64位
  • 大阪大学 152位
  • 東北大学 223位
  • 京都大学 233位
  • 北海道大学 235位
  • 九州大学 242位
  • 東京大学 284位

東京大学

何も前提なくこのデータを目の前に出されたら、ほとんどの人は以下のように考えるでしょう。

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名古屋大学は64位と“健闘を見せて”いる。東北大学以下は“200位以下の体たらくぶり”。東京大学は最高学府にもかかわらず“ダントツ最下位の284位”でもう終わってる。日本、ヤバいな……

……ほんとうにそうでしょうか?

ぼくはこれを見て、「さすが東大は最高学府なだけあるなぁ」と感心しました。それだけ未来を見て、自分のアタマで考えている人間がいるんだろうな、と。

皮肉ではありません。ほんとうに「さすがだ」と思ったのです。さらに深くランキングを見ていきましょう。

このランキングをナナメ上から見てみよう

「大学就職率ランキング」って何?どんなランキング?

「大学就職率」なんて、あなたに何の関係もない

言うまでもないですね。「いかに多くの割合で学生を企業に送り込むことに成功したのか」の順位です。割合が100%に近ければ近いほど就職に有利な大学と認知されます。学生を集めるのに有利になります。

ただし、このランキングはあくまで大学側のために用意されているものであって、あなたには何の関係ありません。そんな話をしていきましょう。

表彰台

さて、突然ですが大学と企業を比較。

主体評価指標リソース結果、主体が得るもの
大学就職率 ↑学生の数 ↑運営資金 ↑
企業株価 ↑投資家の数 ↑資本金 ↑

この表のように、大学は就職率を高めれば、志望する学生が増え、学費収入が増え、運営資金が増えます。企業は株価を上げれば、投資家が増え、資金流入が増え、資本金が増えます。

要は、大学も企業も評価指標を上げればキャッシュフローが良くなり、組織運営が向上する、ということです。

いいじゃ~ん、とか思いました? 何が悪いの? とか思いました?

もちろん、いいんです。ただし、大学や企業にとっては、ですが。

ポイントは、就職率がどれだけ高かろうが、就職先である企業に未来がなければ、あなたにとって就職率という指標は何の価値もない、ということです。

もっと下世話に言えば、「どんなに就職率が高かろうが、就職先が全部超ブラック企業だったらあなたにとってなんの意味もないでしょ?」ってことです。

国立大学といえど今は「国立大学法人」です。資金繰りを考えることから逃れることはできません。就職率という指標で学生を集めてノーリスクで学費という利を得られるのは大学である。その事実を忘れてはいけません。

ただし、この考えは、時代や市況に左右されます。つまり、就職する学生にとっての「出口」である「企業への就職」に旨味があれば、実は就職率を評価基準として大学を選ぶのは間違いではない、と言えます。

では、その企業というものが今どうなっているのか?

次に行きましょう。

競われる就職率、ではその先の企業は今どうなっているのか?

日本の企業をめぐる今はどうなっているのか。

シャープソニートーシバ

シャープが債務3000億円を後出しして一度まとまりかけた外資の救済すら拒否されてしまいそうな状況です。東芝が資金繰り改善のためのリストラ費用2000億円を大手銀行に融資をお願いしている状況です。SONY凋落は言うまでもないでしょう。

企業というものの価値が急速に失われている時代です。

その今という時代を前提において、就職率を競うことの意味があるのか?と疑問に思うのです。大学は、就職率という今後確実に価値を失っていく指標で自らをアピールする必要が本当にあるのか?と疑問に思うのです。

大企業が安泰とは言えない時代が“これから来る”という状況ではありません。すでに到来しています。

大学や官公庁の「なかのひと」はまだ感じていないかもしれない。しかし、企業の中にいる人ほど、ヒリヒリと身にしみて実感しているのではないでしょうか。

ギルド

歴史は繰り返します。

産業革命以前は個の時代で、専門の手に職を持った人たちが、ギルドといった人的ネットワークをもって仕事をしていました。産業革命を経て、大量の生産と消費をまかなうために企業という強固な組織体がつくられました。

そして今、コンピュータ・ネットワークというゆるやかなつながりを利用して、また個の時代に入っています。

企業の無価値化に恐れる必要はなく、ただ個とネットワークの時代に向かっている(戻っている)という、ただそれだけのことだと考えています。

「就職」の対義語は何?

起業? フリーランス? それともニート?

起業家もフリーランスも個人事業主もクラウドワーカーも、仕事がなければただのニート。なのでこれらを細かく分ける必要はないと思っています。

そして、たとえ就職していても、個人で食っていけるのであればフリーランスと言っていい。

企業に就職するかどうか?ではなく、企業に依存せずに食っていけるか? という類型で分けて考えています。

何を基準に大学を選べばいいのか?

「就職率というものは企業の価値が消滅しつつある現代では指標として役に立たない」という話をしました。

そもそも大学に行く必要はあるのか?

そもそも論として、大学に行く価値があるかどうかという選択から考えてみる必要があるでしょう。

正直なところ、今はまだ、価値が無いとは言い切れないと思う。

では、10年後ならどうか?

突然ですが、ぼくには8歳の子どもがいます。さて、彼が高校を卒業する10年後、大学に行く価値はあるのでしょうか?

価値というのは、「大学にかけた時間とお金を上回って、人間としての成長のリターンが見込めるか?」ということです。

2026

ぼくは、ないと考えています。

今後数年は企業というものの価値がなし崩しに崩壊していくと思いますが、大学という組織は企業以上に堅固にそのカタチを保持していくと思います。企業よりも、資本経済にさらされる度合いが小さいからです。

ただし、今のまま「就職率」を上げることばかりに躍起になっている大学群は、企業価値の崩壊とともに淘汰されていくことになるでしょう。必要性が無いですからね。加えて少子化もあり、大学の総数は間違いなく減っていきます。

では、大学の評価基準が今後どこに移っていくのか?

これはとてもおもしろいテーマ。

長くなってしまうのでざっくりまとめると、だれが中にいるかという「人的資産」と、社会をよくする特許などの「知的資産」。この二つが指標として力を持っていきます。

それらがもっとオープンに語られて、大学本来の姿である「学問を追求する場」に回帰していくでしょう。

ソクラテス

ただし、資本主義的な市場がまだ動いている以上、一気にそちらに柁を切るわけにはいきません。10年後を見据えて虎視眈々と準備しておくことだけではなく、理解されずともいまから表明していくことが大学側としては必要なのだと思います。

これはアンチ市場原理というわけではありません。新しい市場原理に乗ろうということです。

今の貨幣市場が人的価値や知的価値を重要視する方向に柁を切っているので、大学も素直にその指標を見る方向に舵を切ろう、ということです。

株式市場を例に考えてみよう

企業の場合を例にとって考えてみます。投資的思考のはなしになります。

「賢い投資家」は株価がどんなときに投資をするかわかりますか?

株価

答えは、株価が底にあるときです。

株価は大きな目で見れば常に波をうっています。他の投資家が耐え切れず投げ打った波の底値で買って、上昇するのを待って波のてっぺん付近で売ります。それによって、投資家は最大の利益を得ることができます。

さて、さきほどの表をもう一度出します。

主体評価指標リソース結果、主体が得るもの
大学就職率 ↑学生の数 ↑運営資金 ↑
企業株価 ↑投資家の数 ↑資本金 ↑

面白いもので、「愚かな投資家」は株価が上昇し、上昇し、上昇し、ようやく気持ちが安心したところで買いを入れます。波はもうすぐ下降に向かうことに気が付きません。株価の波の分析ではなく、自分の安心感という感情で判断をくだします。

下がったときも同様で、もう少し我慢、もう少し我慢、もう少し我慢、と損切りできずに、大きな損失を出すことになってしまいます。

大学を選ぶひとの動きも同じ傾向があります

大学を選ぶひとの動きも同じ傾向があり、波のてっぺんの「就職率がいい」大学に学生が集まります。就職氷河期と言われる今ならなおさらです。

株式市場において株価の上がり目の企業に「愚かな投資家」が集まってくるように、就職率の高さを売りにする大学には、相対的に就職率の高さというエサに釣られたエッジの立っていない人間が集まってきます。結果、大学としての魅力は薄れていくでしょう。

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よく考えてみてください。

就職氷河期なのは、大学の就職させる能力が低いからですか?企業の業績が悪いからですか?

違うでしょう。根本的には「経済が停滞しているから」です。

つまり、就職率がいい大学に入れば就職ができるなんて、ほんの0.0000000001%就職率が伸びる程度の幻想でしかないんです。

「大学就職ランキング」などという根拠も存在意義もよくわからないランキングを大学選択の判断にしてしまう「愚かな学生」がどれくらいたくさんいるのでしょうか。

ただし、小学校からランキングに従うような教育をされてきてきたので、そのような判断軸で行動することを否定することはできません。つまりは、社会的に「大学就職ランキング」を頼る人間が量産されているんです。

就職時における「人気企業ランキング」も同じことがいえますよね。

ちょっと「大学就職ランキング」の意味の無さについて考えてみましょう。

一位の長岡技術科学大学は、卒業生・修了生900人で就職率が97%、つまり873人が就職している。211位の早稲田大学は卒業生・修了生13160人で就職率が82.6%、つまり10870人が就職している。

「企業に学生を送り込む能力」という点だけで見れば、どちらがより“えげつなくミッションを遂行しているのか”は明らかでしょう。

そして、この差は一切認知されず、ランキングにおける1位と211位という順位付けだけを見て、「長岡技術科学大学は就職率がいい!」という判断を下してしまうということです。

ぼくらは何をみて大学を選べばいいのか?

「賢い投資家」は「波の底値で買って波の天辺で売る」というお話をしました。

ですが、もちろん株価だけを見ているわけではありません。株価だけではなく、企業そのものの価値をよーく見ています。短期的な波だけではなく、長期的な企業の成長という、より大きなうねりを見ています。

長期的なうねりが上昇傾向にあり(=企業価値が高く)、株価が底値に近い(=何らかの一時的理由で株価が下がっている)のであれば、うまみの大きい「買い」と判断するわけです。

大学を選ぶ際も、短期的指標である「就職率」ではなく、長期的指標である「大学そのものの価値」を見るべきです。なぜならば、それこそが大学の利ではなくあなたの利になるからです。

とても打算的ですが、単純な事実です。サバイブに必要なリテラシーです。

先に述べたように、「大学そのものの価値」とは、だれが中にいるかという「人的資産」と、社会よくする特許などの「知的資産」になると考えています。

そこを追求した大学であれば、自分自身のために、行く価値は充分にあります。

さて、宮城大学

ランキング4位の宮城大学。

今年で開学20年を迎える割りと新しい公立大学です。“実学志向”を掲げ、「事業構想学部」と「看護学部」でスタートしました。

宮城大学

起業に目を向ける事業構想学部のカリキュラム

ぼくが在学していたときの構成ですが、「事業構想学部」には「事業計画学科」と「デザイン情報学科」があり、「デザイン情報学科」はさらに「空間デザインコース」と「情報システムコース」に分岐していました。

「事業構想学部」のカリキュラムは学科・コースによって大きく異なります。起業や事業計画を学んだり、建築やデザインを学んだり、情報システムやコンピュータ言語を学んだりと様々です。

その中に、通底して組まれている必修科目がありました。起業のマインド、資金や会計など実務、PCスキル、インターネットリテラシーといったものです。

今振り返ればですが、必修科目に熱量を注げば自ずと「起業」というものに目を向けるようにカリキュラムが計画されていました。

ホームページを見る限り、この理念は今も受け継がれているようです。

そしてこれも今振り返ればですが、まさに2016年現代において必要な、「企業に依存せず自分のアタマで考えて行動する」というマインドとリテラシーが身につくような仕組みになっていたと思います。

だからこそ、冒頭に申し上げたように、「母校の宮城大学が“残念ながら”4位に入ってしまった」と感じてしまったのです。

宮城大学の初代学長、野田一夫さん。タイムリーにプレジデントオンラインに取り上げられていますが、野田さんがこのランキングをみてどう感じるのか。おそらく、「おお、いいね!」と喜びはしないのではないか、と思うのです。

気になる&欲しい情報、「宮城大学卒業生はどこに就職したのか?」

宮城大学という立地上とても大切なこと。

東日本大震災の影響がまだまだ続く中、その復興はやはり企業の力なくしては達成できません。その意味で、宮城県に公立の大学として存在する宮城大学の役割は大きいです。

どの都道府県にある企業に就職したのかという詳細データは表に出てきませんが、もし宮城大学の就職先に東北の企業が名を連ねているのであれば、それは地元の大学としてとても価値があることだと思います。

まとめ

長くなりました。

「大学就職率ランキング」をネタに今後の大学のあり方や母校への期待などを書き連ねてきました。

  • 「大学就職率ランキング」はあくまで大学側の経済論理のための指標である
  • 社会は「企業」から「個+ネットワーク」に移行している
  • 大学は「人的資産」と「知的資産」の積み上げに注力し情報をオープンにする
  • 10年後も大学がいまのかたちなら、行く価値はまったくない

というような論を述べてきました。

でも、結局言いたいことは一つだけです。

自分のアタマで考えよう
  • 意図が添加された編集データを盲信しない
  • できる限り元データにさかのぼる
  • データの意味を自分のアタマで考える
  • 自分のアタマで再構築する
  • 使う

結局のところ、普遍的なデータそのものは「あなたにとっては」意味がありません。いかに自分のフィルターを通すか、どう消化するか、そしてどう使っていくか。

それが「自分のアタマで考える」ということです。

大学進学を目指す高校生においても、就職を目指す大学生においても、目の前の編集されて意図が添加されたデータだけで未来を判断するのはもったいない。

目の前に美しく盛りつけられた料理だけを見るのではなく、素材や生産者さんにまで意識を巡らせて、食事という行為をより楽しんでもらいたいと思います。

まだ大学就職率ランキングで消耗してるの

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございます。更新を通知しますのでフォローお願いします。
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鈴木ずかん
三児をワンオペで育てる現在無職のシングルファザーです。公的補助金で細々と暮らしていましたが、子どもの教育にもっとお金をぶち込んでみたい欲目が出てきた&貯金食い潰したwwwため、退路なしのアフィリエイトサイト実践中。このブログでは育児やお金やトレンドについて雑多に書いていきます。 twitter feedly にてフォローしていただけると嬉しいです。