最近キュンキュンしたのはいつですか? え? ぼくですか? 忘れたよ!
あの頃の甘酸っぱい気持ちを取り戻したくて、「君の名は。」を観てきました!
でもどーせよくあるボーイミーツガールでしょ?
とツンデレ気味に観に行ったのですが、思いのほか良かったです。というか、とんでもなく良かったです。キュンキューンしました。
これは一言書かねば! と謎の使命感を得て書き始めた感想は、あらすじ含め
総文字数12000字
を超えました。400字詰め原稿用紙で30枚ですね(*´∀`)
しかしですよ
その後ネット上に転がるレビューを見たところ、自分が書いたことはすでにほとんど書き尽くされている。背景に隠されたサブリミナル的仕掛けから、登場人物がなぜそのような行動をとったのかの考察から、もうすべてがネット上で語り尽くされている。
これ、俺がもう一度書く意味ないよね?
そんな結論に達しました。
ですので、全て削除してやったわ! えーい! あらすじなんて予告編貼り付ければいいじゃないか。どぞ。
というわけで、感想というか、頭に浮かんだことをダラダラ垂れ流そうと思います。あと、誰も言及していない妄想部分はしっかり残しておきました。
それでもネタバレはしちゃうので、観てないアナタはブラウザバック(回れ右)ね。
前半は「おおかみこどもの雨と雪」のことを書くので(←なぜ 笑)、まずは安心して読み進めてください。ネタバレポイントが来たらもう一度アナウンスしますので。
ではどうぞ。
目次
俺史上の邦画アニメナンバーワンに並んだ
そう、今まで観た邦画アニメで一番心揺さぶられたのが、「おおかみこどもの雨と雪」なんです。
この映画が大好きで、確実に10回以上は観てまして。
俺アニメ史トップは「おおかみこどもの雨と雪」
数あるジブリ作品を抑えて、これが俺史上邦画アニメのナンバーワンです(「バケモノの子」はそこまででもなかった)
多分、自身がシングルファザーだということも大きいんでしょう。
母である花の気持ちや、雨と雪の成長と旅立ちに自分の未来を重ねてしまったんでしょうね。号泣しちゃいまして。
子育てネタで男泣きですよ
子育て世代のお母さんは絶対に観たほうがいい作品だし、特にシングルのアナタは観ないなんてありえないくらいの良作だと自信を持って言い切れます。(自宅上映会しようかな……)
これ以上形容しようがないのですが、一言で表すと、
母とこどもの、愛と自立の物語
です。
何か「おおかみこどもの雨と雪」のレビュー記事みたいになってきましたね。はは。
トップに並んできた「君の名は。」
で、「君の名は。」ですよ。
俺アニメ史上ナンバーワンの「おおかみこどもの雨と雪」に、「君の名は。」が一気に追いつきました。それほどに「君の名は。」は良かった。ワントップがツートップになりました。
こちらも陳腐な表現で申し訳ないのですが、一言で表すと、
すべてがあるべくしてある、運命の物語
です。
重層的伏線とエンディングに向かって一気に回収される構造。それを愛と絶望と出会いと別れの物語と美しい映像とスペクタクルな音楽で包んでいる。
すばらしかった……!
さて、ここからちょっとだけ「君の名は。」の中身にも触れていきますね。一気にネタバレしますので、観てない人はブラウザバック推奨です。
そして今すぐ映画のチケットをポチしましょう。さぁ。
さて、ここからはカクリヨです(← 観た人はわかる)。観てないアナタはここからは読まないでね? 戻ってこられなくなるよ?
いいですか? 言いましたよ?
では、どうぞ。
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「君の名は。」最大のカタルシス
この映画で一番カタルシスを得る瞬間は、
瀧と三葉の入れ替わりは、田舎/都会という物理的距離だけではなく、三年間の時間のズレも飛び越えていた
ことが判明するときです。
そ、そうきたか!
ゾワッ(総毛)
腰が一瞬浮きました(←感受性豊か)
よくある入れ替わり系ボーイミーツガールが、時間軸を飛び越えて自己世界を救う旅に出るパラレルワールド・ラブストーリーにハイジャンプする瞬間です。
前半と後半で、登場人物や世界観は一緒ですけど、まったく違う物語でしたよね。
正確には、前半の入れ替わりの意味付けが、「時間」という要素を付け加えたことでまったく違うものになった。
すごかった……!
ここからは、ネット上に書き尽くされたことをまた買いても仕方ないので、自分が見た限りまだ触れられてないことを、俺の妄想含め書いていきます。
意味の多重性
「君の名は。」ではご存知のように、
- 黄昏 → 誰そ彼、彼は誰、片割れ
- ムスビ → 組紐(紐を結ぶ)、人を結ぶ、時間を結ぶ
など、言葉に重層的に意味をもたせる仕掛けがたくさん施されていましたよね。
背景にも対比を連想させるサブリミナルがたくさん仕込んでありました。瀧のTシャツとか旅館の掛け軸とか町長室のポスターとか。
物語自体も、現在と過去の対比、男性と女性の対比、身体と精神の対比、などなど、とにかく
あらゆるものを「ふたつ」に分けて、その統合を描く
ことにこだわっているように感じました。
さて、そんな意味の重層性という目線で物語の小道具について妄想してみようじゃありませんか。
口噛み酒=朽ち神酒
さて、「口噛み酒(くちかみざけ)」です。
三葉と四葉がモグモグしてダラーしてつくるお酒。巫女の半分を記憶する依代、タイムトリップの小道具。
これについては、
口噛み酒 → 朽ち神酒
という含みを持たせてるんじゃないかな、という妄想をしました。
災害の記録という救いの「神」は「朽ちて」いくけれど、巫女の半分の「口噛み酒」が災害の記憶を保存している。
そんなメッセージです。
石=意思
御神体としてクレーターの中心にある巨石が登場しましたね。木が絡みついていますが、木は成長するものであるので、この巨石こそ御神体でしょう。
ところで、なぜ道端に転がるその丸い物体をぼくたちは「石」と呼ぶのでしょう?
「石」は、残るものなんです。
「意思」は、残したいものなんです。
なにが言いたいのかというと、
「石」のように残したいという希望を込めて、過去の人は(意思)に「意思(イシ)」という呼び名を付けた
のではないか。
過去の大災害を経験した人は、未来ではその喪失を繰り返して欲しくないという「意思」を残すために、「石」に記憶を描きつけた。
そんなふうに感じました。
東日本大震災 大津波の記憶
災害と石と意思つながりでもうひとつ。「1200年周期で糸守に彗星がおちる」という設定について。
「君の名は。」は運命と愛の物語の体を取りながら、
3.11的未曾有の大災害、その記憶と記録の伝承
についても言及している映画なんです。
宇宙スケールで人間には見えないメカニズム
物語の中で、1200年という周期で糸守にティアマト彗星が墜落していることが明かされます。
そんなことがあり得るか?
これ、あり得ます。
東北地方の津波と一緒ではないかと思うんですよね。東日本大震災級の大津波は500~1000年周期で繰り返されていたことが、堆積物の調査で突き止められているそうです。
津波は地質学や地球物理学でメカニズムと歴史が解明されています。ただし、彗星衝突はスケールが大きすぎて人間には見えていないだけなんですよ。
一葉(おばあちゃん)は御神体の壁画を知っていたのか?
2400年前に糸守エリアに住んでいたまだ言葉を持たない人たちが、彗星の記録を壁画として残しています。そこが宮水神社の御神体として受け継がれている。
さて、この壁画に一葉や三葉や宮水家の人間は気がついていたのか?
きっと、気がついていないんですよね。
彗星の記録が形として残されているのに、気がつかない。記録はあるのに、記憶が失われている。舞いや書物の形で残していても、時間の経過で意味が失われ、大火や事故で形が失われていく。
(三葉と四葉の舞いも、みごとに彗星の軌道を描いていましたね。一人ではできない、二人で踊るための型でした。語られてないけど、一葉や二葉も舞いのパートナーとなる姉妹がいたのかな?)
記録と記憶 津波記憶石プロジェクト
こんな情報を見た記憶があります。
東北地方の太平洋岸にも過去の津波の記録を記した置石が各地にある
こどもたちが未来にもう二度と喪失を経験しないように、ここまでは津波が到達した、ここからは安全だ、という情報を石に刻み込んでくれていたわけです。
東日本震災後に、ひとつ気になるプロジェクトがありました。
津波記憶石プロジェクト
すばらしい取り組みだと思います。この石は、1000年後、風化しつつも原型をとどめているでしょう。
1000年前とは違い、あらゆる技術や情報テクノロジー含め、後世に災害の記録を残す術はたくさんあります。ただし、1000年後に災害の記憶が人々の頭の中に残っているかはわかりません。
でも、記録を残しておかなければ気付かれることもない。残してさえおけば、誰かが気がついて、たくさんの命が救われるかもしれない。
そんな希望の繋がり(ムスビ)も込められた映画でした。
一番絶望的なシーンが、一番美しい
物語の主人公が最も絶望を感じるのは、もちろん彗星衝突の瞬間でしょう。死が眼前に迫ってくるわけですから。
でも、映画としてはその絶望の瞬間が一番美しく表現されているんですよね。壮大な音楽といい、たくさんの光が弧を描く映像表現といい。
でも、それもそのはず、あの彗星の衝突がなければ瀧と三葉の出会いもない。ストーリーが存在しないことになってしまう。
彗星の衝突という1200年周期の約束があって、瀧と三葉の物語がある。
そう考えると、彗星の衝突は果たして絶望なのか希望なのか。それとも、どちらでもなく「ムスビ」、定められているただそれだけのことなのか。
考えさせられますね。
まとめ
いや、ほんとすばらしい映画でした。
冒頭にも書いたように、「おおかみこどもの雨と雪」にならんでトップに躍り出ました。今後も何回か観ていく映画になることが確実です。
あ、一点大切なことを忘れていました。
なぜ、三葉の入れ替わりの相手が瀧だったのか?
ということ。
なぜ、三葉の入れ替わりの相手が瀧だったのか?
一言でいえば、
瀧も過去、糸守の人間だった
ということでしょう。
なぜかって、さすがタイトルが「君の名は。」なだけあって、その理由は名前に隠されています。
だって、
「氵(さんずい)」に「龍」
ですよ?
めっちゃ
「宮 “水” 」に「 “糸” 守」
じゃないですか!!
まったく語られていませんが、糸守という土地のムスビつきを考えると、「瀧も過去、糸守の人間だった」がもっとも自然な答えです。
以上、『12000字の「君の名は。」の感想をひと思いに消去した残滓としての希望のテキスト』でした。コピーせずに消去する瞬間は指が震えましたが、おかげで好き勝手に書くことができました。
消去されるべくして消去されたんですね。
もっと「君の名は。」の世界に浸りたいあなたへ
映画を観終わった陶酔感を引きずりながら、小説版とスピンアウト版を読みました。映画を観た人はこちらも読まれることを強くオススメします。
特にスピンアウト版の「Another Side:Earthbound」がすばらしいです。映画観たならこれは読んどかないと、それこそ「カタワレ」しか観ていないと言ってもいいくらいです。もうこれ、表紙で損し過ぎ。もったいない。
(これはこういうことなのかな)と深読みしていた部分が、補完されたり、裏切られたり…… 特に三葉の父俊樹のストーリーにはひざを打ちますよ。
君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
PS.
今回は12000字以上書いたものを一度消して書き直しました。それでもなかなかのボリュームですね。文字マニアの自分としては、言葉に込められた意味を妄想するのが楽しかったです。
その視点で、オチとしてひとつ付け加えておきますね。「君の名は。」をカタカナにした瞬間、一気に間抜けになって力が抜けます。
キミノナハ。(あいだみつお)


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