パンデミック(爆発感染)しやすい料理というものがある。
その代表格がカレーだということは、日本人にとって周知の事実だ。近所から香る匂いを感じてディナーをカレーに決めたという人は、日本人の98%をこえる。そんなデータもある。
……話は昨晩にさかのぼる。フェイスブックを見ていた俺に、ある投稿が飛び込んできた。
「大根カレーつくりました\(^o^)/」
これはウイルスだ。パンデミックだ。そして、俺はカレーのウイルス耐性ができないカラダなのだ。鼻孔をつく匂いどころか、想像上の匂いで罹患してしまった。やれやれだ……。そして、さっそくカレーをつくりはじめたのだ。
さて、あまり表に出していないことがある。俺の食生活がマクロビオティックということだ。どれくらいマクロビオティックかというと、奥津典子さんが吉祥寺時代に開催していたオーガニックベース全12回に、男の俺が参加したくらい、マクロビオティックだ。
だが、最近は食べたいものを食べている。「それこそがマクロビオティックさ」という声も聞こえるが、人間は『カラダ』が食べたいものと『アタマ』が食べたいものが乖離している。だから、食べたいものを食べればいいと単純に言い切れないことには留意する必要がある。
そんな視点も交えて、我が家で使っている調理器具の紹介を含め、調理風景を残してみることにする。
料理名称 : 男のフライド大根カレー
テーマ : ノーレシピ・ノーリターン
記事テーマ : ハードボイルド
いつもと趣向を変えて、一人称を「俺」、語尾は「だ、である」調とし、無駄にハードボイルド感を出していく。俺の気分だ。それ以上でも、それ以下でもない。
*
さあ、調理に入っていこう。
まずはお米だ。日本の魂だ。
俺はお米を玄米で買っている。食べる直前に精米機にかけて分づき米(ぶづきまい)にする。精米されているお米を買ってくるよりも、お米が酸化しないので、おいしく食べられる。そう俺は解釈している。熟成しておいしくなるのは、酒と女くらいだ。
精米機は山本電気の家庭用を使っている。なんと、あの『料理の鉄人』道場六三郎監修だ。
ごはんはマスタークックで炊く。電子ジャーは闇に葬った。6合用と3合用が家にあり使い分けている。鍋でご飯を炊くには、「スイッチポンで予約だ」というわけにはいかない。火加減調整が必要になるが、慣れればどうってことはない。火加減など、自分で調整すればいい。男は嫉妬の炎に焼かれてはいけない。
ごはんを火にかけた後は食材を切っていく。
ここからが男の料理の真骨頂である。料理のセオリーやマクロビオティックの基本である陰陽から見れば、食材を入れる順番などももっと考慮すべきであろう。でも、気にしない。なぜならば、俺は「男の料理」という特権を持っているからだ。
まさに、俺がルール。
さぁ、タマネギだ。最近の投稿に頻出するのを見ればわかると思うが、俺はこいつを心底信用している。お米が日本人の魂(ソウル)なら、タマネギは俺の料理にとってのソウルメイトだ。シャーロック・ホームズにとってのジョン・H・ワトスンであり、ソクラテスにとってのプラトン。あるいはモンキー・D・ルフィにとってのクルーだ。
タマネギは「まわし切り」する。マクロビオティックで言う、陰陽が切片のなかにバランスよく含まれる切り方だ。すべての切片が同じ形になる。人間がみんな同じ切り口で語り始めるほど恐ろしいことはないが、タマネギは同じ切り口だとその旨味が倍増するのだ。切り方が気になる人は検索してみてくれ。
俺が使う鍋は「VitaCraft(ビタクラフト)」と「CLISTEL(クリステル)」
今回は「VitaCraft(ビタクラフト)」を使う。鍋とフタの密着精度が素晴らしく、無水調理ができる。人間のベタベタした慣れ合いにはうんざりだが、VitaCraftの鍋とフタの密着精度には感嘆せざるをえない。沸騰時、フタがまるで大型ハドロン衝突型加速器のなかの粒子のごとく回転するのだ。保温性能もよく、カレーを作る際には重宝している。
「フランスから来たクリステルについても紹介しておこう」
こう書くと、まるで相棒あるいは愛人でも紹介するようではないか。だが世の女性諸君、心配しないで欲しい。相手は人間ではない。鍋だ。クリステルについて一言で表現するのであれば、「 お も て な し 」という言葉が似合う。お手入れ簡単、収納は徹底的にコンパクト。合理性とこだわりが随所に感じられる。そしてなにより、美しい。触れたものだけが感じられる美しさがあるのだ。
調理油はこの3点を基本としている。油の使用用途は料理だけで十分だ。
では、なたね油を使って炒めていこう。
次はしめじだ。
投入した。
次は人参だ。土付きを丁寧に洗う。
一思いにバラした。
投入した。
次はじゃがいもだ。スノーマーチ。そう、スノーファンタジー。
じゃがいもは皮を向くのが面倒だという意見もあるが、俺はそこに楽しみを見出す。男性諸君、女性の服を脱がせるそのプロセスを、もっと楽しもうじゃないか。「服は自分で脱げ」で片付けるのは、ちょっと味気ないんじゃないかい?ましてや、それを作業にしてはいけない。
この美しさを見てくれ。脱がすプロセスを大切にしてこそ、脱いだ後のこの陶器のような美しさが光を放つ。そして……
一思いにバラすのだ。
そして業火に放り込む。なんて残酷、そしてハードボイルド。
次は、がんもである。……すまない、「服を脱がす」という流れが終わったところで「がんも」が出てきたことに俺は正直困惑している。その理由を少し書き残しておこう。これから書くことはノンフィクション、つまり俺の体験談だ。
そう、あれは大学生のころ、友人の家で鍋を囲んでいるときのことだった。ある女性が「がんもってなんかイヤラシイよね」と、俺の耳元でささやき、淫靡な目線を送ってきたのだ。正直、初めはその女性が何を言っているのか、どこにイヤラシさを感じているのか、さっぱりわからなかった。その日は友人宅に泊まった。
そして、帰宅後シャワーを浴びているときに、俺自身を見てふと気がついたのである。愕然とした。もしかしてコレのことをいっていたのか、と。そして激しく後悔した。俺はなんてもったいないことをしてしまったのだ、と。あれは俺のがんもをあの子が食べ
あとは読者の想像におまかせする。唯一言えることは、下の写真のがんもが2つではなく3つで良かった、ということである。なんとか誤魔化せている。
バラして投入。ぐはっ。
ハァハァ……さて、ついにここまでたどり着いた。本日のカレーの主役、大根だ。がんも切っておいてよかった。もしここに2つのがんもが残っt
……失礼した。「ひょうし木切り」。そのまま鍋に投入してもいいかと思ったのだが、この大根をさらに美味しくするアイデアが降ってきたので、さっそく試す。恐れはない。なぜならば、男の料理だからだ。「ノーレシピ・ノーリターン」だ。大根をどうするかというと……
フライド大根だ。まずは塩と薄力粉を絡める。
そして素揚げにする。じっくり焦げ目をつけていく。
今日のカレーはルウを使用する。最近はココナッツミルクとペーストを使ったカレーにはまっていたのだが、今日は「オーサワのカレールウ」を使う。甘口だ。俺にとっては刺激が足りなさすぎるが、子どもにとってはおいしいらしい。これだから子どもってやつは……やれやれだ。
ルウが「ダマ」にならないように水で溶く。ちなみに、俺はダマされることを厭わない。ルパンを見てみろ。女にはダマサれてなんぼの世界で生きている。あえてダマされる。そして、最後にダマらせるのだ。最期に沈黙が残る。それこそが真のハードボイルド。
そうこうしているうちに、ごはんが炊けた。さぁ、見てくれ、この美しいカニ穴を。だが、俺のうしろに音もたてずに立つようなまねはするな。俺は後ろに立たれるだけでもいやなのでね……。
ごはんが余ったときには「おひつ」に入れておく。これに入れておくことで、素材の木が勝手に調質し、冷たくなっても固くならない。
そう、世の中には、冷えきると固くなるという万物に通じる真理がある。景気も男女関係も親子関係もそうだ。一度固くなった関係を柔らかくするには、ただ温めればいいというわけではない。相応の投資、つまりリソースの投入が必要になる。このおひつは、世の真理を超えるイノベーティブな商品だ。なぜならば、冷たくなっても、固くならない。
ルウを投入した。完成は近い。
フライド大根の焦げ目が香ばしさとカリカリの食感を演出する。そもそも、油と大根の相性は疑いようのないものなのである。美味しくないはずがあろうか。いや、ない。太陽が西から昇るのと同じくらい、ありえない。
さぁ、こどもたちよ、「the time has come」だ!「男のフライド大根カレー」の美味しさに酔いしれるがいい!!
「うんま~!」
言われなくても知っている。
「ほっぺがなくなるぅ~」
娘よ、それは違う。「ほっぺがおちる」だ。
結論。
フライド大根のカリッとした食感と香ばしさ。それが非日常のカレー体験を演出してくれた。料理というものは、たったひとつオリジナリティを加えるだけで独自の味と体験をつくることができるのだ。ぜひとも恐れずに挑戦して欲しい。テーマは、「ノーレシピ・ノーリターン」だ。
料理名称 : 男のフライド大根カレー
テーマ : ノーレシピ・ノーリターン
記事テーマ : ハードボイルド
くだらない料理レポートに付き合ってくれた読者に感謝する。ちなみに、掲載した調理器具や食材はすべて実際に使用しているオススメ品だ。さぁ、今夜はみんなでカレーを食べようではないか。
最期の最期にひとつ言わせてくれ……。
カレーにモザイクはかけないほうが、いい。


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