ストーリー(物語)が嫌いな人はいません。
心に残るからです。
だから、「まず読むべき」アドラー本は迷わなくていい。
嫌われる勇気
こんな導入からはじまります。
かつて1000年の都と謳われた古都のはずれに、世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる、と説く哲学者が住んでいた。納得のいかない青年は、哲学者のもとを訪ね、その真意を問いただそうとしていた。悩み多き彼の目には、世界は矛盾に満ちた混沌としか映らず、ましてや幸福などありえなかった。
青年:では、あらためて質問します。世界はどこまでもシンプルである、というのが先生のご持論なのですね?
哲人:ええ。世界は信じがたいほどにシンプルなところですし、人生もまた同じです。
青年:理想論としてではなく、現実の話として、そう主張されているのですか?つまり、わたしやあなたの人生に横たわる諸問題もまた、シンプルなものであると。
哲人:もちろんです。
青年:いいでしょう。議論に移る前に、今回の訪問についてお話させてください。まず、わたしがここを訪れた第一の理由は、先生と存分に、納得のいくまで議論を交わすことです。そして、できうることなら先生にご持論を撤回していただきたいと思っています。
哲人:ふふふ
青年:というのも、風の噂に先生の評判を聞きましてね。なんでもこの地に一風変わった哲学者が住んでいて、看過しがたい理想論を唱えているらしい。曰く、人は変われる、世界はシンプルである、誰もが幸福になれる、だのと。わたしにとっては、いずれも到底受け入れられない議論です。
それで、実際に自分の目で確かめて、少しでもおかしな点があればその誤りを正してさしあげよう、というわけです。……ご迷惑でしょうか?
なぜストーリーが心に残るのか?
上に引用したように、この物語は全編、青年と哲人の会話で進行します。問答によって人生の意味が紡がれていくというストーリーです。
読みやすいんですね。青年が思考を誘導してくれる。
「そうは言ってもねぇ……」とあなたがモヤッとしたところで、青年が代わりに哲人に質問してくれる。というか、ツッコミを入れてくれる(笑)
ある意味では思考の放棄ともいえますが、青年のツッコミを通して、哲学的に問うことの疑似体験ができる。知的なスリルと読後の爽快感は相当高いです。
本当はストーリーがないほうが自分のアタマで考えます。
でも、初めて読む、まず読む、という視点でみれば、あったほうが断然入りやすいんですね。というわけで、本心ではこれ一択。
『嫌われる勇気』
前回も熱く語りましたが、子育て真っ最中の必読書です。
*
……ここで終わってもいいんですが……
対談形式の本が苦手!とか、ストーリーではなくて見開きで完結するほうがいい!というあなたには、見開きで完結するアラカルト本を。
アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉
いわゆる名言集です。右ページにアドラーの言葉の引用、左ページにその解説や行動指針などが書いてあります。それが100個。
アドラーの言葉はよく切れるナイフみたいで。タイトルのように『人生に革命が起きる』ほどの切れ味です。ですが、ゆえにけっこう心臓えぐられます。甘くないです。
本の導入として素晴らしい引用があるので転載しておきますね。嘘ついてないですよ、この言葉。
「私はアドラーの本を最初から最期まで三回ほど読みました。
火曜の朝、私は椅子から立ち上がりました。
世界は違っていました……。
アドラーは私に教えてくれました。
『世界は信じがたいほどシンプルだ』と」
ー 精神科医 リディア・ジッハー
『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』
名言集のなかではこれがイチオシです。
*
次に三冊目。
……用意してましたが、この二冊でいいや。十分。むしろいいバランスだと思いはじめました。この二冊を読んで興味を持った人は、勝手に類書を探し始めると思いますし。そちらのほうがいいですね、うん。
というわけで、タイトルでは3選と書きましたが、2選で打ち止めにします。さようなら~(笑)
*
おまけ。
上の二冊を読んで、次に例えば岸見一郎さんの『アドラー心理学入門(ベスト新書)』なんかを読んでしまったあなた。そして、本当に興味を持ってアドラー心理学に乗ってみようと思ったあなた。
その段階で読んでみてもいいんじゃないかなぁという本があります。「3選」の外です。あんまりオススメではありません。
その本はワークブックです。ワークブックのいいところは、あなた自身のストーリーがワークを通してあぶりだされるところ、その一点です。
(選外)7日間で身につける!アドラー心理学ワークブック
こんな質問に答えていくワークブックです。
Q1. あなたは、今のあなたに100点満点で何点をつけますか?
Q2. Q1の点数について100点からの減点要素はどんなところですか?具体的に書いてみましょう。
Q3. Q1で0点でなかった場合、どの部分が加点要素になっていましたか?具体的に書いてみましょう。
Q4. 自分の好きなところ(性格、容姿、能力など)はどこですか?
Q5. 自分の嫌いなところ(性格、容姿、能力など)はどこですか?
……という感じで進んでいきます。
アドラー自身が「体現するには今まで生きてきた時間の半分が必要」と語っています。つまりタイトルの『7日間で身につく!』というのは、ウソ。でも、自分を掘り下げるのは「変えていくべき自分という素材」を知るのにとても大切なことです。
ぼくは中古で買ったのですが、中がまっさらでした。売った人、なんで買ったんでしょう? ワークブックを買っても書き込む気がない人はお金のムダです。買わないほうがいいです。(Amazon評価も高いんですが、そんなに良書とも思えない^^;)
先程も申し上げたように、上の二冊+『アドラー心理学入門(ベスト新書)』を読んでみてさらに深掘りしようと思って初めて手をつけてみてください。
『7日間で身につける!アドラー心理学ワークブック』
目的はただひとつ、「書くことであなたのストーリーをあぶり出す」ことです。
*
今回はここまで~
次回は『 建築か、哲学か。それが問題だ。高校時代の「青年」の苦悩 』というテーマで自分のことについて書いてみようと思います。
それではまた。
哲学的なものとぼくとの出会いについて語る第四回はこちら↓
https://suzukisanchi.com/post-2344


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