政府・与党案の要点は二つ
1. 保育士の給与を4%上げることを検討しています
2. 保育士一人の担当児童を5人から6人に緩和することを検討しています
珍しく怒りの感情が湧いた。
保育士給与問題と待機児童問題を同時に解決しようとするからこんなアホな案が出てしまうんだ。ここまで世論の反感を買うような案を政府・与党が平気で出してくるのが日本という国なんだよ。
まぁ、ぼくにとっては他人事ですけど。
ぼくの保育園事情はどうなってるかというと、第三子が4月から幼稚園に入園する。第一希望のところに、特に何の審査もなく。札幌の外れだからね。
だから待機児童問題は他人事なんだ、申し訳ないけども。最高の幼稚園に入れてあげられたことが本当に嬉しい。
まず、ぼくの保育士給与問題と待機児童問題に対する考えから端的に言います。最も大切なのは、二つの問題をきちんと分割すること! そして、抜本的解決にはまず保育士給与増額から取り組むこと!
保育士給与問題
待機児童よりも、まずはこっち! さっさと平均給与レベルまで引き上げよう。例えば地方創生加速化交付金などを削減して保育士給与に回そう、回してみよう、実験しよう。これはシンプルな「お金で解決できる問題」なんだ。
待機児童問題
とは言え、残念だけど、給与問題について満足のいく解決を政府・与党は出してくれない。なので、待機児童の根本的解決を政府・与党に頼ることはムダ。脱・東京しちゃいましょうよ! 東京は地震も怖いし。札幌にいい幼稚園ありますよ(笑)
……とまぁ、他人事なんです。すんません。でもね、ほんと、シンプルに「お金で解決できる問題」だよ。
目次
珍しく、怒りの感情がニョキッと
でもね、今回の政府・与党案にはホント辟易してしまった。珍しく怒りの感情がでてきた。だから書く。
もういちど、政府・与党案の要点は二つ
1. 保育士の給与を4%上げることを検討しています
2. 保育士一人の担当児童を5人から6人に緩和することを検討しています
下記、短い記事なので読んで。全文転載するので、リンクは押さなくてもいいや。太字部分はぼくが太字にしてます。
【 来週にも待機児童対策=給与4%増、設置基準緩和—政府・与党 】
政府・与党は、待機児童の解消に向けた緊急対策を週明けにも策定する。保育士の待遇改善や小規模保育施設の定員拡大などが柱となる見通しだ。待機児童対策は「保育園落ちた」との匿名ブログをきっかけに、夏の参院選の主要な争点に浮上しており、政府・与党は具体策づくりを急ぐ。
安倍晋三首相は24日、塩崎恭久厚生労働相、加藤勝信1億総活躍担当相と首相官邸で協議し、「保育園を探している皆さんの声に応えてほしい」と述べ、早急な対策取りまとめを指示した。
緊急対策は、 保育現場の人手不足を解決するため、保育士の給与引き上げを軸に検討 している。保育士の平均月収は約22万円。公明党は24日まとめた緊急提言で人事院勧告の引き上げ分を含め 約4%の増額 を求めている。政府・与党では、 配置する保育士数の基準を緩和し、保育施設がより多くの子供を受け入れ可能とする案 も出ている。
待機児童問題は首都圏や都市部に集中している。新たな用地や物件の確保が難しいからだ。このため、上限が19人となっている小規模保育施設の定員拡大も検討。このほか、事業所内保育施設の積極活用や、保育園を探す保護者の相談を受ける「保育コンシェルジュ」制度の導入も緊急対策に盛り込まれる方向だ。
[時事通信社]
どう感じる? 「夏の参院選の主要な争点に浮上しており」とか、結局は票集めのためなのね……と思っちゃうけれど。そうなんでしょう、きっと。
さて、二つの要点について、一つずつ見ていこうか。
1. 給与を4%上げることを検討しています
アホかいな。
「4%上がるんだ! 嬉しいな」なんて言ってる場合じゃないからね。保育士の月給平均は22万。その4%っていくらよ?
…… 8,800円 だからね。ははは。(もちろん大切なお金なのはわかってるけれど)
この保育士の月給平均22万は、全職種平均よりも11万円低いというデータもあるね。(この11万という数字の詳細はここでは追求しない。また、給与の差については記事最後の ※ の書籍がとてもわかりやすく参考になるのでぜひ。11万上げろ!と単純に言えなくなる恐れもありますが)
んで、22万という平均給与は、上の人たちの給与で引き上げられた数値だからね。20代なんてもっともっと低い。10万円代前半なんてザラでしょ。その4%って……。それで生活が立ちゆかなくなって辞めていくんだ。若い保育士は、ただただ短いキャリアで消耗し捨てられているのが現状なんだ。
全職種平均に合わせるのは何%必要かって?
簡単な算数だ。22万を33万に上げるには、50%アップだよ。それが保育士が政府に求めるベストな回答だ。これが達成されれば万々歳。
……それに対して政府・与党が出した案が、4%アップップ~。バカにされてます。
さっさと地方創生加速化交付金をこちらに回してほしい。
ただね、もう国に頼ってもダメです。補助金とか、本当に必要なところには行かないものなんですよ。利権金みたいなものだから。保育士給与を国が満足いく形で補填してくれることは、たぶん、ないよ、残念だけど。期待しちゃダメ。
経済的に都市部で子育てできる人、できない人。残念ながらその格差はもうできちゃってる。そして、下層の人は、無認可に入れて必死に働いても、稼ぎの殆どが保育費で消えていく。
これって、いったい何のために働いてるんだろうね? 保育園に子どもを預けるために働いてるの? 苦しい思いをしてまで? 今しかない子育ての時間を犠牲にしてまで?
脱・東京したらいいじゃん。そう思う。
いろんな場所を知ってるわけじゃないけれど、札幌にはすてきな幼稚園、あるよ。生活コストも下がるよ。もちろん札幌も待機児童いるけれど、東京よりはだいぶまともだよ。
仕事がないって? あるよ、探せば。あるよ、選ばなければ。給料は下がるけれど(リアルな話、ぼくは50%減でした)。
でも、自分で仕事をつくることもできる。そういう仕事は地方だろうが都市部だろうが関係ない。経済的安心を求めるなら、「殖やす」という手段もある。
何度も言うけど、東京は地震も怖いし。
2. 保育士一人の担当児童を5人から6人に緩和することを検討しています
これは汚い。言葉のマジック。「緩和」という言葉にダマサれちゃいけない。
国としては、「保育士一人につき幼児は 6人 まで」という制限をつけてる。でも、より手厚いケアなどを目標として、「保育士一人につき幼児は 5人 まで」としてる自治体もある。これって、利用者にとっては嬉しいことだよね。よりじぶんの子どもに目がいくということだから。
政府・与党の言う「緩和」ってのは、この自治体の善意を外そうとしているっていうことなんだ。
確かに待機児童は減る。最大1.2倍の幼児を受け入れることができるようになるから。でも、保育士の立場から見たら、負担1.2倍だからね。「緩和」でもなんでもない。
さて、冒頭にも書いた政府・与党案の要点の二つをもう一度見てみよう。
1. 保育士の給与を4%上げることを検討しています
2. 保育士一人の担当児童を5人から6人に緩和することを検討しています
本音はこうなんじゃないかと思う。
↓
1. 待機児童で国民が騒いでいるので、保育士一人の担当児童を5人から6人に増やして待機人数を減らそう
2. 保育士から負担増で文句が出るので、給与を4%だけ上げとこう
順番も入れ替わってるからね。これでおわかりのとおり、「政府・与党は保育士の給与アップはしたくない」んですよ。
国家(政府)と国民(ぼくたち)はわかりあえない
雇い主と従業員は根本的に分かり合えない。
雇い主は「なるべく安い給料でたくさん働いて欲しい」けれど、従業員は「なるべく高い給料が欲しいけれどあまり働きたくない」からね。
国家(政府)と国民(ぼくたち)の関係もこれと同じ。
そして、日本という国の恐ろしいところは、ぼくが冒頭で述べた「なんでこうなるの? なんでこんなに世論とズレちゃうの? わざとなの?」の答えが、 本当にわざとやっている可能性もある ということなんだ。
わかる?
最初に『超トンデモ案』を提示して、そのあとで『ちょっとトンデモ案』を出すと、ぼくたちはそれでいいかと思ってしまうんだ。
これはモノ売りの常套手段だ。5万円の商品を売りたいとする。「いつもは50万円だけど!今回だけ!明日まで!10人限定で!なんと10万円です!」というアレです。
国は、頭がいいんです。もとい、あざといんです。
自分のアタマで考えないぼくたちは、どうせアホ国民は何も考えてないから……ってバカにされてる。それくらいは自分のアタマでわからなくちゃいけない。
そんなわけで、ぼくには今回の政府・与党の思考の流れがこう見えるんだ。
待機児童の件で国民がうるさいので、「保育士一人につき幼児は 5人 まで」という自治体の制度は無しにしよう! 国の決まりのとおり、「保育士一人につき幼児は 6人 まで」で統一しちゃおう! そうすれば最大1.2倍受け入れられるから、待機児童減るよね!
でもそれだと保育士から「子どもが増えると大変だ!」って文句が出るだろうから、給与アップしよう! そうしたら文句も減るんじゃない? うーん……まずは4%アップくらいで!
4%アップって言ったらたぶん「それだけ!?」って声がいっぱい出ると思うけど、それでOK! あとで妥協案で6%アップとでも言えば、感謝感謝でそれを受け入れてくれるでしょ! あいつら何も考えてないから 笑。
まとめ 自分のために国を利用しましょう
国を頼るんじゃなくて、国を利用するんだ。
初めにも書いたけれど、ぼくの保育士給与問題と待機児童問題についての考えはこうだ。
保育士給与問題
待機児童よりも、まずはこっち! さっさと平均給与レベルまで引き上げよう。例えば地方創生加速化交付金などを削減して保育士給与に回そう、回してみよう、実験しよう。これはシンプルな「お金で解決できる問題」なんだ。
待機児童問題
とは言え、残念だけど、給与問題について満足のいく解決を国は出してくれない。なので、待機児童の根本的解決を国に頼ることはムダ。脱・東京しちゃいましょうよ! 東京は地震も怖いし。札幌にいい幼稚園ありますよ(笑)
このように、抜本的解決にはまず「保育士給与問題」が先だと思ってる。そして、シンプルな「お金で解決できる問題」だと思ってる。それが満たされれば待機児童問題も改善すると思ってる。でも、政府はそこを解決しようとは思わないだろう、とも思ってる。
なので、今ある国の制度を最大限りようしつつ、脱・東京を試みてはどうだろうか、という考えです。
健全に思ってます。
最後に一言。
ぼくは国の制度を少しでも動かした「日本死ね」の匿名ブログだったり、その流れを最大限活用して国の制度に変革を起こそうと動いているかたたち(例えば駒崎弘樹さん)だったりを心から尊敬している。
ぼくは自分がいちばんで、他人のことまで考えることができない。
だから、待機児童問題で働けず悩むひとたちや、低給与で悩む保育士さんたちに寄り添って、政府に掛けあって制度的解決を目指すひとたちを、こころから尊敬しています。
↑ 記事内で保育士の給与について触れましたが、仕事の給与がどんな仕組みできまっているのか、市場の原理はどうなっているのかがとてもわかりやすく端的にまとめられています。カール・マルクスの『資本論』とロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』をネタに、とても上手においしく調理された書籍です。給与の仕組みを知りたいかた、自身の給与に不満があるかた、給与がない主婦・主夫のかた、ぜひ一読をおすすめします。


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