シン・パパだけど子どもをムリヤリ預けてシン・ゴジラを観てきた感想

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(C)2016 TOHO CO.,LTD.

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タイトルどおりシン・パパですが子ども三人をムリヤリ預けて『シン・ゴジラ』を観てきたので感想を。

もうめちゃめちゃおもろかった! 今すぐ観にいったほうがいいよ!

以上です!!

……ってわけにもいかないので、観終わった直後に頭に浮かんだ「よかった点7つ」ネタバレしまくりで書いてみます。まぁとにかくレビューが大量に投稿されてることでもわかるように、誰もが一言いいたくなる映画でした。

ひとことで言うと、災害シミュレーション映画です。

まずは公開されている情報として、予告編をどうぞ。

ね!「怪獣映画」という視点で予告編を観ても、全っ然おもしろくなさそうでしょ? 笑

でもね、本編はめちゃめちゃおもろくて考えさせられる「災害シミュレーション映画」だった! つまり、わざとつまらない予告編にしたとしか思えない。

今すぐ子ども預けてでも観にいったほうがいいよ!(←自分の話)

なお、自分はゴジラに関してはハリウッド版のGODZILLA(ローランド・エメリッヒ 1998)を観たことがあるだけで、日本版はひとつも観たことがないです。総監督・脚本の庵野秀明さんのエヴァンゲリオンシリーズも、過去にマンガ3巻まで読んだだけ。

という、スーパーフラットな立場でございました。

godzilla

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で、デカい……!!!!!

ではここからは本気でネタバレします。ま、読んでも鑑賞に耐えうる映画だとは思いますが。実際に何回も映画館に足を運んでいる人もいますし。

4.6. なんかは特に唸りました。どうぞ。

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レクタングル(大)

1. ゴジラの第一形態(?)の予想外さがよかった

上にも載せた予告編でゴジラの姿は見ていました。なので、いきなりその神々しい姿で デデーン! とテーマソングとともに登場するのかと思った。

川を遡上してきたゴジラが上陸するその瞬間…… 来るぞ、来るぞ、来るぞ……!! 来たぁぁ~!!

…… 目がキモかわいい! (´ε` )

第一形態のキモかわいさに度肝を抜かれた。特に目がキモかわいい。動きはにょろにょろしててキモい。なんかエラからドバー赤いの出てるし。でも、ウネウネと這うだけで商店街消滅。デカいってスゴい。

というか正直なところ、「ん? こいつ、ナニモノ?」と初見は思った。

あまりにもイメージと違ったので、こいつはゴジラではなく、ゴジラという圧倒的存在が登場する前に自衛隊の強さを見せつけるための捨てキャラなのかと……。または、ゴジラにやられるためのザコかと(笑)

一度海に潜伏して戻ってきたときには100メートル超えの圧倒的シン・ゴジラに変態。よかったよかった安心した。こいつは幼体だったわけね。ホッ

(このキモかわいいヤツはネット上では「蒲田くん」と名付けられていて、実際は第二形態とのこと。大人気である)

2. ゴジラを「災禍」として描き切ったところがよかった

ゴジラが目的も感情もない「災禍」として描かれていて、観る人に感情移入を押し付けてこないところがよかった。

あんな神々しいビームを出されたら、もう「神的な何か」への畏怖と絶望しか浮かばないっす。

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よくあるパターンは、「人間の核廃棄物が原因で生まれた不幸な生物」としてゴジラを描くこと。それによってゴジラに感情移入させて、対比として人間の愚かさを浮き彫りにするというシナリオ。

でもこの映画のゴジラは、感情移入する隙間がない。成体になって目が「・」になったゴジラは、感情の表現がなされていない。あくまで、人間がコントロールできない「災禍」として描かれている。

そもそも、スクリーンに映る時間が非常に少ない。ゴジラの姿は、大事だけど、大事じゃない。

破壊活動も、意志をもって破壊しているのではなく、歩いているだけ。でも、歩いているだけで東京壊滅。ズズゥ~…ン、ズズゥ~…ン。

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後で少し書くけど、庵野監督は明らかに3.11の地震とそれにともなって発生した原発事故を意識していますよね、とぼくには感じられました。

3. ストーリーを国防・政治・権力闘争に絞りきったところがよかった

ありがちなラブストーリー的要素を排除してとことん国防と政治と権力闘争を表現したところがよかった。

ハリウッドならどうしただろう?

Maybe、Hollywood なら Kayoko Anne Patasun(石原さとみ)を Front に引っ張りだして Crisis に巻き込み、Rando Yaguchi(長谷川博己)を Close call で現場に Join させて Hero に仕立てあげ、Kiss で Happy な Ending を迎えるだろうね Uh-huh(←パタースン風に読んでね)

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だが日本のシン・ゴジラにはそんな甘ったるい予定調和はない! といわんばかりの実直なストーリー。(←2014ハリウッド版観てないけどね……笑)

全編通して「政治のホウレンソウ」を描き切ったことでメッセージが明確になっていました。

この辺はハリウッド映画大作のタイタニックとは大きく違うところですよね。

タイタニックは「どんな性格の観客でも必ず感情移入できる登場人物がいるように、心理学的マーケティングに則ってシナリオ設計されている」と何かで読みました。

シン・ゴジラは、巨災対メンバーで多少の余白はつくっていますが、タイタニックのような「万人が感情移入できるために」というよりも、日本的な「キャラ萌え」のための人物設計な気がしました

見た目も性格も、すぐにでもマンガ・イラスト化できる特徴的なキャラクター設定ですよね。

どっちがいいというわけではないですが、日本においてカルト的にネットで拡散されるのは今回のシン・ゴジラのようなつくりかたでしょう。ハマり度が違う。

4. 巨災対の「ゴジラは生命の進化だ」という認識がよかった

ゴジラは「災禍」ではなく「進化」だという巨大不明生物特設災害対策本部(以下、巨災対)の認識が科学的でよかった。

ゴジラの体液を科学班が分析する中で、新種の元素が発見されるんですね。で、その元素がゴジラ体内で核融合を起こし膨大なエネルギーを生み出していると。

それが判明したときの巨災対メンバーの態度がシビれるんですよ。

正確ではありませんが、「進化した生物ということか……!」とか、「人類の発展に大きく寄与するかもしれない……!」とか「これでゴジラがこの星で最も進化した生物という事実が確定しました」とか、そんな言葉や感情をちらと見せるんです。

クレイジーな科学者って、そういうイメージですよね!

もう社会がどーなるとか関係ないの。ただただ自身の知的欲求を満たすことに貪欲。さらに仮説と真実の食い違いが判明すると、安田さん(高橋一生)のように、すぐに間違っていたことを認めて「ごめんなさい」と言うことができる。

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かっこいいな、と思いました。

『アルマゲドン』も『七人の侍』もそうですけど、「一芸に秀でてるけど社会に適合できないならず者たち。そんなやつらが集まって圧倒的危機を乗り越えるストーリー」って最高にクールですよね。

5. 首相の看板感がよかった

「総理! ご決断を……!」

何度このセリフが出てきたことか。

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そして、内閣総理大臣補佐官役の竹野内豊が発した首相への言葉、「そろそろ好きにしてもいいのではないでしょうか」でホッと肩の力が抜けた姿。

これが「首相」という「役職」のリアルなんだろうな、と。

ヤシオリ作戦の遂行では内閣官房副長官の矢口蘭童(長谷川博己)の傑物ぶりが目立ちますが、その裏にはフランスに頭をさげ続けて核攻撃開始までの時間を稼ぐ首相代理の姿があった。

かっこいいじゃないですか。

でも、最後の責任を取らされるのは首相。なぜなら、「最終決断を下すことが首相の仕事」だから。

そして、何らかのトラブルで「首相」が機能しなくなると、ただ決定権を立てるためだけに「首相代理」のポストが用意されて、とにかく誰でもいいから座らせる!という展開。

うーん、リアルですね……。

6. 自衛隊と米軍の武器と狙う部位の違いが実際にありえそうでよかった

これけっこうおもしろいな~と思ったところ。

自衛隊の駆除目標はもちろんゴジラですが、「攻撃する部位」については明確に制限があったんですよ。

「顔」「脚」です。

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なぜかというと、ゴジラの破損部から体液が飛び散ることによる放射能拡散を恐れたから。ゴジラは体内元素の核融合で活動エネルギーをつくっているので、この判断は当然ともいえます。

でもゴジラは硬い表皮で覆われているわけで、まったく自衛隊の砲撃が効いている気配はない。

そこで登場するのが、安保条約を締結している国、アメリカの空軍です。(このあたりの国防の仕組みはわかりやすいマンガがあるので記事下にリンクつけときますね)

アメリカが初撃で使った武器が、「バンカーバスター」。いわゆる地中貫通弾というもので、地下にある施設を爆撃するための兵器です。硬い構造物に突き刺さり爆発、内側から対象施設を破壊する。

刺して爆破。そういう属性の兵器を、容赦なく放射性物質であるゴジラの「胴体」に投下する米軍。放射能の半減期がわからない段階での、駆除を第一としたこの判断。

それがいいとか悪いとかじゃなく、「らしいな」って思った。

劇中では核爆弾を使用するかどうかの間際に「場所がマンハッタンでも米軍は核を投下する」というようなセリフがありました。おそらくそれは本当だろうな、と。

これが日米の国防に対する意識の差なんでしょう。

例えばアルカイーダの一個師団が国内に何らかの目的で潜伏していると知ったら、政府は無力化のためにどのような指令を下すか。日本は「交渉」「逮捕」という手段をまずは考えると思うけど、アメリカは躊躇なく「兵力投入」「殲滅」という行動をとる気がします。

7. 「駆除」ではなく「活動停止」のエンディングがよかった

ゴジラ、最後も死んでない。血液を固めて活動停止させただけ。

荒ぶる神としてのゴジラ。エネルギー源は体内の核融合反応。血液を凝固させて活動を停止させる「ヤシオリ作戦」。

これはもう明確に「原発事故」と「石棺」のメタファー、ですよね。

福島。水素爆発がゴジラに見えなくもない

福島。水素爆発がゴジラに見えなくもない

活動停止したゴジラ。超硬度の外殻をもった100メートル超えの物体。一時的に抑えこんでるだけで、振動を与えると再起動するかもしれない。

よって、もう簡単にバラしたり動かしたりできる代物ではない。今後も東京のど真ん中にモニュメントとして残り続ける。というか、残さざるを得ない。

その一方で、膨大なエネルギーを生み出している未知の元素は、人類に大きな恩恵と進化をもたらすかもしれない。

さて、そういったものと人間はどう付き合っていくべきか?

ただただゴジラがドンパチで駆除されるというエンディングだったら、ここまで考えさせられる映画にはならなかったと思います。

ゴジラという「災禍」が伝えてくる圧倒的絶望感と、それを「駆除」ではなく「活動停止」で一時的に抑えこんだこと。

それが「シン・ゴジラ」に物語の深みと誰もが一言いいたくなるような懐をもたらしているように思います。

余談ですが、まったく回収できてない伏線があって、無性生殖を匂わせた部分もありましたよね。

どうなったんでしょう……。核融合も、生殖の関係ない連続反応。まさにアンコントロール。

まとめ とにかくおもしろいので観よう!

いろいろ書いたけど、とにかくおもしろい。

とても「日本的」映画。

だから日本人みんなで観ようよ、という感じ。

観よう!

あえてシーンを付け加えるなら……

「大きくて制御できないものにどう対処するか」が主題なので「ゴジラという災禍を抑え込むこと」にストーリーが帰結するのが映画としての成立条件ではある。

でも原子力や核や震災や津波など、人類が制御できないものへの畏怖を伝えるために、ヤシオリ作戦があっさり失敗するくらいもっと圧倒的な絶望を表現して欲しかったという気持ちもある。

その意味で、「ゴジラが首都機能を壊滅させて海に帰ってハイおしまい」がベストエンディングではないだろうか。

でもそれだと物語がまとまらないよね(笑)

例えば、最後の最後に夜の遠景シーンになって、呼吸のリズムに合わせてゴジラの赤をゆっくりとほんの僅かに煌めかせる、とか。一部の観客しか気づかないくらいの暗さで……。

それによって、抑えこんで活動休止させているだけですよ……、というのを、気づいた人にだけ示す、みたいな。

でもそんなのなくても、とてもおもしろいポリティカルエンターテイメントな災害シミュレーション映画でした。映画好きなら、というより、日本人なら観てほしいという映画!

五つ星! ★★★★★

(おまけ)お気に入りレビュー2つ

この二つのレビューを見て、ぼくは『シン・ゴジラ』を観たくなりました。エモいのとロジってるのと。

-2016.9.27追記

これは震えた!  「母がしんどい」著者の田房永子さんのシン・ゴジラ感想文。ゴジラを「衝動」、政府を「理性」として、親子関係で物語を再構成する凄まじい筆力。物語の新たな創造、再構築です。前後半あり。

(もひとつおまけ)国防がわかるマンガ

『シン・ゴジラ』の前に偶然にもこの本(マンガ)を読みました。すばらしいタイミング。「国防」の意義と考えかたがインストールできていたので、より味わい深く『シン・ゴジラ』を観れた気がします。

Kindle Unlimited で読めるのでオススメ。戦争反対だキーッ てなっちゃう人こそ。マンガでとってもわかりやすいです。

長文レビュー、おしまい!!

最後まで読んでいただきありがとうございました! 我ながらグッとくること呟きますので、twitterフォロー していただけると嬉しいです!

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